登山者でなくても山々の雄大なパノラマを感じられる観光スポット、立山。
日本三大霊山の一つで、3000メートル級の山々に囲まれながら、春は雪の大谷、夏は空の青と山の緑のコントラスト、秋には紅葉、といった自然の美しさを味わえるとともに、黒部ダムや関電トンネルといった日本の歴史に残る壮大なプロジェクトを目の当たりにできる、体験の幅が広いスポットです。
この立山・黒部地域にアクセスする交通路が「立山黒部アルペンルート」。
ですが、そもそも山岳地帯であるため高低差が激しく、さまざまな乗り物を経由したり、階段や散策道などもあり基本的にバリアフリーではありません。
では、車いすやバギーでは行けないのでしょうか?
結論からいえば、乗り物には問題なく乗れ、立山室堂の展望台に行ったり、黒部ダムの堰堤を渡ることはできます。逆に言うと、その他のスポットへ行くことは難しいということになります。
立山観光
- 「立山黒部アルペンルート」HPは情報満載
- 車いすで行けるスポット、行けないスポット
- 観光したいものの時期、時間をあらかじめチェック
アルペンルートの交通機関
乗り場の階段は人力で回避!?
立山・黒部地域に行こうとした時、マイカーなど車で行けるのは富山県側は立山黒部アルペンルートの立山駅まで、長野県側は扇沢駅までです。
立山駅と扇沢駅の間の区間はケーブルカーやバス、ロープウェイなど各種乗り物を乗り継ぐことになります。
ちなみに、バスだけでも3種類あり、通常のガソリンバス、昔の路面電車の様に外部から電気を供給されるトロリーバス、蓄電池で走る電気バス、それぞれの特性と環境に配慮した仕様になっています。
また、ケーブルカーはかつて黒部ダム建設の資材搬入で使用されており、上手にリノベーションされている点も興味深いです。
さて、先にも触れましたが、立山は山岳地帯であることから各交通機関の乗り場のバリアフリー化は十分に進んでおらず、施設内の高低差解消は基本的に階段です。
リフトなどの設備もないため、乗り場などでは必要に応じてスタッフの方が数人で車いすやバギーを持ち上げてくれ、人力によって乗り物に乗せてくれます。
このサポート体制はどの乗り場でも整っているので、交通機関に関しては問題なく立山駅と扇沢駅を横断できます。
車いす利用者が多い場合は事前に相談してくださいとのことですが、少人数であれば乗り場でお願いすればその都度対応してもらえます。
車いすで行ける/行けないスポット
やはり立ちはだかる階段のバリア
交通網に関しては問題ありませんでした。では、肝心の観光についてはどうでしょうか。
立山黒部アルペンルートのスタッフの方々のサポートは交通機関の乗り降りなどに限られ、基本的に観光まではサポートしてくれません。
当然ではありますが、これにより車いすやバギーで行けるビュースポットは限られてきます。
◎行けるビュースポット
- 黒部ダムの堰堤、放水観覧ステージ
- 室堂ターミナルの展望台
- 室堂ターミナルからの雪の大谷
まず、アルペンルートのルート上にある黒部ダムの堰堤は問題なく観光できます。
ダム湖の大きさ、放水の迫力を感じることができるでしょう。
次に、立山室堂の室堂ターミナルの展望台へは、ターミナル横の自然保護センター内にエレベータがあるので、これを使って屋上に行き、山々のパノラマを望むことができます。
ただ、展望台の先の室堂平は石畳の道や土の散策道なので、残念ながら車いすやバギーでの散策には向きません。
また、春の雪の大谷も室堂ターミナルから歩いていくので、雪の壁を見上げることができます。
逆に行くのが難しいのは、大観峰の展望台や黒部ダムを堰堤よりも上部から眺めるダム展望台です。
△行けないビュースポット
- 大観峰の展望台
- 黒部ダム展望台
どちらも眺めがいいのですが、階段でしか行けないスポットで、特にダム展望台は階段が220段あるので健常者でも体力を使うルートです。
ある程度の段差であれば、同行者が持ち上げて解消することもできますが、安全が確保できないと思われる場合には絶対に無理はしないでください。
観光ができる期間、雪の大谷は
豪雪地帯を楽しもう!
豪雪地帯である立山は観光できる期間が限られています。
交通機関が動く時期
4月中旬〜11月下旬までが交通機関が動く予定ですが、年によって時期が変わりますので、公式HPで確認してから行きましょう。
https://www.alpen-route.com/index.php
黒部ダムの観光放水
観光放水は、6月下旬〜10月中旬の間ですが、時間は季節によって変わります。事前に放水時間を調べてから行くと確実です。
黒部ダム観光放水について|観光情報|黒部ダムオフィシャルサイト
雪の大谷フェスティバル
4月中旬〜6月下旬の間は「雪の大谷フェスティバル」が開催され、雪の絶壁の中を歩くこともできます。
雪の壁の「最大の高さ」と「最終日の高さ」を当てる景品付きのクイズキャンペーンが開催されています。ぜひ挑戦してみてください。
注意!アルペンルートは山岳地帯
体調への考慮、寒さ対策も十分に!
立山黒部アルペンルートの各スポットの標高を見てみると、室堂2450m、黒部ダム1470m、とかなり標高の高いところに位置しています。
たとえば都市部を標高0mとすると、標高2450mの室堂では酸素濃度が75%に、気温も15℃低くなります。
酸素濃度が低くなることで人によっては頭痛や体調が悪くなるなど、いわゆる高山病の症状が出ることがあります。
そんなときは高度を下げるのが一番の解決策です。無理は行動は避けましょう。
寒さ対策についても、車いすやバギーを利用される方は自分で動けない分、熱を生み出すことが苦手なので、防寒着は少し多めに持っていってあげるのがいいでしょう。
その他、注意すべきことについては立山黒部アルペンルートのHPにも掲載されています。
まとめ
下調べと万全の対策で楽しい立山黒部観光を
一大観光地で観光客がたくさん訪れる立山黒部アルペンルートは、しっかり整備されていますし、スタッフの方も大変親切に対応してくれます。
ですが、あくまでも山岳地帯です。
気軽に行ける観光地とは違います。
どこでどんな体験をしたいのか、しっかり下調べし、万全の対策を取った上で旅行に出かけましょう。
そして、観光当日は車いすやバギーを利用される方だけでなく、介助される方の体調も見ながら楽しんでください。
春の雪の大谷の時期、夏の登山シーズン、秋の紅葉の時期は土日・連休は特に込み合います。
できれば、その時期を避ける方が周囲に気を遣いすぎず、楽しい旅行になると思います。