肢体不自由児さ〜や、人生初の高所登山の日がやってきました。
前日、立山黒部アルペンルートで弥陀ヶ原まで高度を上げ、標高1930mで宿泊。
高所での血中酸素濃度などさ~やの反応をひと晩観察し、大丈夫そうなら、翌日標高2450mの室堂まで上がり、ゆっくり散策する、というムリをしない作戦です。
今回は、立山室堂での散策の様子を中心に報告します。
弥陀ヶ原から高原バスで室堂まで
前日の反省を活かしスムーズに乗車
弥陀ヶ原の「立山荘」に宿泊した翌朝、さ~やの体調は街での生活と変わらず良好だったので、改めて室堂へ向けバスに乗車しました。
初日の様子はコチラから。
前日、バスの乗車で手間取ったため、今回は先回りして色々準備。
そして、イチバンに変えたのは周りに助けを求めたこと。
折りたたんだバギーや荷物をバスの運転士さんにトランクに積んでくれるよう頼んだり、乗り込みやすいバスの配席を要望したり、抱っこして一緒に乗ることを先に意思表示したり、積極的にお願い+周囲に伝えたことで早く乗車できました。
『なるべく自分たちでやろう!』と、周囲のサポートを遠慮してしまいがちですが、バスをスムーズに出発させるためにも、また、どんな手伝いを必要としているのかサポートしてくれる側に理解してもらうためにも、積極的に話しかけるのが重要!だということがわかりました。
さて、バスの車窓からは弥陀ヶ原の緩やかな大地が遠くなり、立山の山々が近くなってきました。
立山室堂ターミナルに到着。
バスが停まると、私がすかさずバスから降り、トランクに預けたバギーを組み立て、バスから降りてきた妻とさ〜やを迎えます。
夫婦間の連携が取れてきました。
室堂での散策スタート!
アルペンルート事務所のありがたい対応
ターミナルの中の障害者用トイレで子供二人のオムツを替えた後、いよいよさ〜やを登山用ベビーキャリアに乗せ換え、室堂散策スタート!
と、ここまで使っていたバギーをどこに置いておくか悩みました。
コインロッカーには到底入らない、そのあたりに適当に置いておくのも迷惑になるし、万が一盗まれたり、撤去されても困る…。
そこで、アルペンルートの事務所に相談してみました。
すると!一時的に事務所の中で預かってくれる、と大変ありがたい対応をしていただきました!
感謝!!
個人の裁量に任されているのでしょうか、即答して下さいました。ホントにありがとうございました。*あくまで個別の事例です。
さて、室堂散策に行くときの荷物は、
- ベビーキャリア2台(さ~やと弟の2人分)
- 電動吸引器、もしものときの手動吸引器
- みんなの防寒着
- みんなのお昼ご飯と水分(胃ろう対応も)
- カメラなど
比較的重い荷物になりました。
荷物を分担すると、だいたい妻が15キロ(弟含む)、私が25キロ(さ〜や含む)を背負っていたと思います。
今回さ〜や用に新調した登山用ベビーキャリア、ドイターのキッドコンフォートⅢは、背負う子供や荷物が重くても、背中のパットが分厚く、腰ベルトもしっかりしているので荷重が分散され、とても担ぎやすかったです。
https://sa-yato.com/odgoods-babycarrier/
ターミナルの階段を上り室堂平に出ると、空気は凛と冷たいものの、雲ひとつない青空!絶好の散策日和でした。
室堂のマップは図のとおりです。
マップの全体図はコチラから【立山自然保護センター】
室堂ターミナルを出発し、室堂山荘、ミドリガ池、ミクリガ池の周辺を石畳や散策道を歩きながら3時間ほど歩きました。
「立山」といいますが、実は立山という名前の山はなく、雄山(3003m)・大汝山(3015m)・富士の折立(2999m)の3つをあわせたのが立山連峰です。
散策していると、おんぶの振動が気持ちよかったのか、二人とも寝てしまいました。
立山を背景に写真を撮ったり、ランチ休憩しながらのんびりと。
散策路の北西方向には奥大日岳がズッシリと鎮座。縦走すると気持ち良さそうな尾根が伸びていました。
10月上旬であったため、少し紅葉の気配が感じられました。
ベビーキャリアに揺られていたさ〜やは心地よさそうで、うつろな目をしていましたが、時折、周りの景色をじっくり見ているようでした。
さ〜や人生初の標高2450m、吸引回数は日常程度、大きな不満も発さず、順調に体験できました。
心配ごとといえば、散策中にトイレの大きい方をした場合は室堂センターに駆け込むか!?と考えていましたが、大仕事はなされませんでした。
ちなみに、登山用ベビーキャリアを肩から下ろすときには、乗っている子供に衝撃を与えないよう、慎重に下ろしてあげる必要があります。
室堂平にはベンチがたくさんありますので、ベンチを使うと地面に下ろすよりも楽にキャリアを下ろせます。
室堂平を散策し、自然を満喫、少し寒かったですがミクリガ池温泉でソフトクリームを食べ、室堂ターミナルに戻ってきました。
事務所で預かっていただいたバギーを回収し、再び高原バスとケーブルカーを乗り継いで立山駅まで帰ってきました。
帰りの乗り継ぎは、経験値を積んだ分、心にも余裕がありました。
下山後の仕上げ、称名滝へ
疲れた身体にムチ打った甲斐あり
立山駅に戻ってきて、最後の仕上げに称名滝に行きました。
称名滝は落差350m、落差で日本一を誇る滝です。
疲れてはいましたが、ここまで来て見ずに帰るのはもったいない!
2日間かけて見てきた弥陀ヶ原や立山一帯の水が一気に集まり、流れ、落ちるのを見届けてこそ、この旅行が終わります。
称名道路の通行時間ギリギリ(7:00〜17:30、7・8月は前後1時間追加)で帰ってこられるタイムスケジュールでしたが、決行しました。
やはり名瀑!何度見ても迫力があります。
滝の釜から展望台まで距離がありますが、落ちてきた水のしぶきが舞って届きます。
滝の水しぶきを浴びると、疲れが吹き飛び、浄化されたような気分になりました。
称名滝までの道は駐車場からそこそこ距離がありますが(約1km)、舗装されているので、車いすやバギーでも問題なく観光できます。
まとめ
自然とアルペンルートスタッフの雄大さにふれた旅
交通アクセスが大変な立山黒部アルペンルートでしたが、さ〜やに登山の雰囲気を感じてもらえる旅行になったと思います。
一番心にしみたのは、立山黒部アルペンルートのスタッフの方がどなたも親切で、優しくサポートしてくれたことでした。
山岳地帯という立地条件からバリアフリー化は進んでいませんが、交通機関の乗り換えや観光の相談に至るまで配慮いただきました。最近は車いすなど障害者の方の利用も増えているようで、体制を整えているのかもしれません。
私たちが立山に行ったのは10月上旬の紅葉の始まり。土日を避けて平日の散策だったので人は少なく、乗り物でのスペース確保やスタッフの方への相談がしやすい環境でした。
繁忙期の乗り物は、都会の満員電車ほどの混み合いになるので、スケジュールが調整できるのであれば、繁忙期を避けて行くことをオススメします。
立山でプロポーズした8年後、家族となって立山に来ていることに感慨深いものがありました。
大切な思い出がまた一つ増えました。