肢体不自由児でもスキーが楽しめるデュアルスキー♪
最近、関西でもデュアルスキーが体験できるようになったということで、早速、体験会に参加せてもらいました。
首が座っていない、体幹もゼロ。たまに痰の吸引も必要なさ〜や。
本当にスキーができるのか不安でしたが、主催してくれたINCREW(インクルー)のみなさんのフルサポートにより、家族4人で念願のファミリースキーが実現しました。
今回は、その体験会の様子をレポートします。
少しでも障害者スキーに興味のある方の不安が解消し、「やってみたい!」と思ってもらえれば嬉しいです。
体験の概要はYOUTUBEにも載せましたので、動画で見たい方はリンク先へどうぞ。
肢体不自由児のデュアルスキー体験inおじろスキー場(YOUTUBE)
デュアルスキーってなに?
そもそもデュアルスキーは普通のスキーと何が違うんでしょうか。
デュアルスキーとは
座位が維持できなくても『椅子に座る』ことができれば、重度の障がいがある方でも、ほとんどのゲレンデを家族や仲間と一緒に楽しむことができます。(合同会社souより引用)
簡単に言えば、スキー板が付いたイスを資格を持ったパイロットが操作してくれる乗り物です。
スキーの醍醐味は非日常を味わえる爽快なスピード感。
冷たい風、雪面からの振動、ターンするたびに右に左に揺さぶられる身体。
日常生活では味わえないたくさんの刺激を体験させることができます。
しかし同時に、転倒や衝突によるケガのリスクもあります。
この点、パイロットが資格制度なので、一定の滑走技術や知識を備えているという安心感があります。
実は、以前からデュアルスキーには興味がありましたが、長野県など遠方でしか体験できず、また新型コロナの発生もあり、気持ちが遠のいていました。
ソリだけじゃない!?ゲレンデで楽しめる障害者用スキー。プロモは猛スピード!!
そんな中、2023年冬、兵庫県北部を中心に、「いろんな垣根を越えて一緒に野外活動を楽しもう!」というコンセプトで活動されている「INCREW(インクルー)」さんのプログラムとして、デュアルスキーがスタート。
今回は、インクルーさんでの体験会の様子をお伝えします。
準備編:体験前にWEBミーティング
しっかり1時間の打ち合わせで不安解消
スキー体験を申し込んだものの、いろんな不安や疑問がわいてきました。
- 首も体幹もグラグラだけど、イスから落っこちないのか?
- 防寒着はどの程度準備したらいいのか?
- 駐車場とゲレンデをつなぐゴンドラにはどうやって乗るのか?
- オシメを替える場所はあるか?
- 途中で発作がでたらどうするか?
- などなど
これらの疑問には、申込時に提出したアセスメントシートでさ〜やの障害の状態を伝えるとともに、事前のWEBミーティングでお互いにしっかり情報共有することができたので、安心して準備をすることができました。
【準備その1】 防寒対策
事前ミーティングのあと、家にある防寒着をフル装備した上でスキー場に行き、さ〜やの身体が冷えないかチェック↓
上下タイツ、フリース、上着ダウン、スキーウエア、ダウンのシューズカバー(足先カイロ入)で、雪上でも足先など冷たくならずにソリを楽しめました。
【準備その2】ゲレンデ必携品をチェック
デュアルスキー体験時に携行するものをリストアップ↓
左から
- 30リットルのザック
- 防寒用のダウンシュラフ(全身が入る大人用のもの)
- オシメ、おしりふき、ポーチ
- 痰吸引器(エレノア)、専用ポーチ、
- 防寒用ダウン
特に痰吸引機のエレノア(ELENOA)は今回のために新調しましたが、軽量・コンパクトなのに吸引力がしっかり安定していて使い勝手が良かったです。
バッテリーもこれまで使用していたスマイルキュートのものが流用できたので、新しく購入しなくて良かったのは経済的でした(エレノア純正は単三電池8本のバッテリーボックス:写真右上)。
吸引圧の調節ダイヤルが軽く回りすぎるので、見た目は良くありませんがテープで固定。
【準備その3】デュアルスキーにヘッドレストを装着
首が座ってないのでヘッドレストを持参し、デュアルスキーに装着↓
普通のイスに座っていても頭がグラグラするので、事前ミーティングで提案してもらった、ヘッドレストをデュアルスキーに取り付けることでクリア。
準備は万端、いよいよデュアルスキー本番を迎えます!
体験編:当日のながれ
人生初すべり、冬の醍醐味を満喫!
体験会場となったおじろスキー場は、駐車場からゲレンデまでのアクセスがゴンドラしかありません。
このゴンドラ移動で登場したのがヒッポキャンプという乗り物。
寝たままでも乗れる軽量な3輪車といった感じ。
雪上でも、砂浜でも、何ならサップボートの上に載せて海上も楽しめる乗り物です。
ちなみに、身体が冷えないように特注のインナーダウン・アウターにくるまれており、ミノムシのようでした。
さ〜やはヒッポキャンプに乗り、そして、ゴンドラに直乗り。
↑ヒッポキャンプはゴンドラの通路になんとか収まる長さ。
ゲレンデに着くと、いよいよデュアルスキーに乗り換えです。
首が座っていないさ〜やのためにデュアルスキーにはヘッドレストを取り付けました。
抱っこで乗り換え。
ちなみに、抱っこ移動させているのが私で、背中のザックに痰吸引機などのゲレンデ必携品が入っています。総重量は10キロもないくらい。
準備万端!リフトを待ちます。
リフトの座面にデュアルスキーごと乗れるんですね。おもしろい構造です。
初めて生身で高所遊泳したので、さ〜やも緊張したのではないかと思いますが、眺めは爽快だったことでしょう。
リフトに乗るときは大人でも落ちないか不安になりますが、これはデュアルスキーでも重要ポイント。
パイロット、パートナー、そして、スキー場のリフト係の方と絶妙な連携でした。
無事リフト下車。
滑走ポイントに移動しますが、デュアルスキーですべる時には、安全のためにパートナーが進路をサポートしていました。(写真上部の方がパートナー)。
そして、いざ初スキー!
写真では躍動感が感じられないと思うので、ぜひ、すべりの様子はYOUTUBEでご覧ください。
すべる前までは目を閉じて、外界のザワザワした雰囲気をシャットアウトしていたさ~や。
しかし、いざデュアルスキーで滑り出すと、雪面からの振動で目を見開き、そのスピードに驚いたような顔をしていました。
非日常の刺激をたくさんの受けているに違いない!
体験会では、2時間の間にリフトに4回乗車。
初めてのスキーにしては、しっかり滑れたのではないでしょうか。
途中、1度痰の吸引を行いましたが、泣きもせず、発作も出ませんでした。
当日のゲレンデは、気温は低かったものの、無風で天候が良かったので、さ〜やの身体も冷えず、順調に体験できる最適な環境だったと思います。
感想:念願のファミリースキー
家族で一緒に遊ぶって、やっぱり楽しい!
今回、デュアルスキーの体験会に申し込んだ理由は2つ。
- 肢体不自由児のさ~やにもスキーの楽しさを味わってもらいたい
- 家族4人で一緒にアウトドア活動を共有したい
現在さ~やは11歳、二次性徴により身体が大きくなってきたことで、登山用のベビーキャリアに乗り切れなくなってきました。
だんだんと家族でアウトドアに遊びに行く機会が減少…
しかし、今回体験したヒッポキャンプやデュアルスキーに乗れば、これからも一緒にスキーでも海でも山でも、アウトドアで遊べることが実感できました。
インクルーさんのデュアルスキー体験会は、スキーだけでなく、今後のアウトドア活動の幅が広がるステキな発見が満載。
そして、家族一緒に楽しめるってサイコー!
日頃見られない子供の反応や成長を感じられるからですかね。
あまりスキーが得意でない妻も、「一緒にすべれるってイイね」と充実した様子でした。
まとめ
関西ではめずらしいデュアルスキーを体験。
体幹がなくても座位が保てれば、リクライニングチェアにすわってスキーすることができました。
障害の程度はみんな違うので、それぞれの準備は異なりますが、事前ミーティングなどインクルーのみなさんがしっかりサポートしてくれるところは安心感があります。
特に、今回の体験会では、デュアルスキー以外のこと、例えばレストハウスでのオシメ替えの場所の確保、準備中に暇を持てあました5歳児の相手なども対応いただいたので、家族に余裕が生まれて、純粋にスキーを楽しむことができました。
念願のファミリースキーを実現させてくれたインクルーのみなさん、ありがとうございました。
できないと諦めるより、「やりたい!」と思ったら、挑戦してみる・相談してみることで活動の幅が広がる有意義な体験会でした。
障害があってもウインタースポーツに興味のある方、家族に肢体不自由児がいるけど一緒にスキーを楽しみたい方、今回体験させてもらったINCREWをはじめ、デュアルスキーができる近くのスキー場、団体を検索してみてはいかがでしょうか!
【デュアルスキーを実施している団体等】
- INCREW(インクルー):兵庫県
- 富士見高原スキー場:長野県
- 障がい者スキースクール・ネージュ:新潟県